2017年、4歳以下の子どもの転入数が神奈川県内トップだった理由


 2017年、神奈川県平塚市は、4歳以下の子どもの転入数は県内最多の241人だったそうだ。神奈川新聞や地域フリーペーパーの取材に対し、市長が明言している。

 日経新聞や朝日新聞が「都心の人工集中」と代表例として挙げる武蔵小杉を含む、川崎市中原区より4歳以下の子どもに限ると流入数は多く、圏内トップという。この事実は、おそらくあまり知られていない。市の広報不足と記者のリサーチ不足だ。

 首都圏の各地で児童が多数発生している中、平塚市の2018年4月時点の待機児童数は34人。17年、16年は0人だったので悪化したことになる。しかし、転入数の多さを考えると、かなり「子どもを預けやすい」環境といえる。

 ちなみに、子どもは16年に第一希望の自宅最寄りの認可保育園に、難しいといわれる1歳で入園できた。さすがに0歳時点では、入所を申請しても不通知だったが、年度途中に0歳から預けることができたケースも聞いている。どちらにしても、熱心な保活の必要のない、とてもイージーな子育て向きの自治体だ。

バス便エリアなら激安 背伸びせずに買える衰退傾向の街

 市内の賃貸物件・新築戸建て物件の相場をみると、駅から遠い地域は本当に安く、徒歩圏内でも賃貸の築古ならそこそこ安い。

 駅から10分以上かかるバス便エリアは激安で、建築条件なしの土地は1000万以下、中古は1000万円台から、新築でも3000万円台といったところだ。徒歩圏内はやや安で、駅チカの戸建ては面積の割にかなり高い。非常に高額な売地と、狭い建売住宅しかない状況だ。

 残念ながら新築マンションの供給はほとんどない。思いつく限り、2012年以降に竣工した築浅の分譲マンションは6物件。大手デベロッパーが売主の物件に限ると、わずか3物件しかない。さらに5年さかのぼっても、数件しか増えない。

 不動産の資産価値は、流動性、すなわち即換金可能な市場のニーズも重要。単身世帯向けの新築賃貸がどんどん増える一方で、ファミリー世帯向けの新築分譲マンションや適度な広さの建売住宅の供給がなく、中古しか選択肢のない街は、やはり衰退期に入っていると言わざるを得ない。

 有名なお二人のTwitterのコメントを引用する。どちらも現状を正しく分析し、予備軍を含む共働き子育て世帯の「都心・駅近志向」は必然であり、橘玲氏は、現状の仕組みでは多大な行政負担が発生し、待機児童も増えるばかりだと指摘する。

子育て世帯の年収

真の「働き方改革」の目標は“出勤の自由”を得ること 

 こうした問題の解決策として、郊外の不便な地域に住む共働き家庭には満額の月30万、都心に住む共働き家庭には月20万補助し、「家余り」のエリアに移住を促せばいい。

 個人年収600万×2の世帯年収1200万の共働き子持ち世帯なら、藤沢以西の不動産価格の安いエリアに移住し、駅や保育園までタクシーを利用し、さらに座れない状況の場合は、片道約1000円のグリーン車、500円の有料ライナーを利用しても、収入の多さを考えれば問題ないはず。さらに、在宅勤務や時短勤務が認められれば、無駄な移動時間や出費をカットできる。これこそ「働き方改革」だ。

親子3人
高年収パワーカップルは、郊外に住めば金銭的にゆったりと暮らせる

 幼い子どもの流入数が増えている理由は、待機児童の少なさを知り、新築マンション・新築建売住宅・新規開発分譲地の注文住宅を購入し、都心部から移住した子どものいるファミリーが多かったからだ。彼らは子どもが大きくなると、早いと小学校に上がる時点で都心部に戻ってしまうが、少しでも人口を維持するには「待機児童の少ない、自然に溢れた子育て向きの街」とアピールするしかない。

 給与水準が高く、時短・在宅勤務が可能な大手企業勤務の幼い子どものいる家庭こそ、仕事のキャリアを継続するため、都心を見限って移住するべきだろう。遠距離通勤を肯定的にとらえた一部が、平塚をはじめ、首都圏内に点在する、待機児童数の少ない自治体に今すぐ引っ越せば、都心部の待機児童問題はいくぶん緩和される。

 とはいえ、平塚駅まで平日朝74分、日中60分かかるので、タクシーを利用してもバス便エリアはプラス10〜30分、トータルで最低1時間半以上かかってしまう。確かに、毎日、通勤可能な距離だが、遠いことには違いない。「空き家」問題のうち、まだ住める家に買い手がつかない問題は、「働き方改革」の結果にかかっている。

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