棄てられた氷河期世代 時代に壊された平凡な人生


自分や同僚は忙しいが、17時台に東京駅から帰宅する中高年の会社員や、休日、土日問わず、昼間に街を歩いている女性の多さをみると、世の中の人は「ヒマ」なのかと思ってしまう。自分のように、子どもを保育園に預け、睡眠と食事時間を削って何とか毎日回している子育て世帯は多いハズなのに、眠そうにしている人もそれほど多くはない。格差は何?

忙しいのはごく一部だけ、あとは皆、ヒマ。多忙な人はネットショッピングやスキマ時間にできるアプリ・ゲームに現実逃避する。年齢構成と労働状況が歪んだ国、それが今の日本。若手のがんばりが報われない年功序列の給与体系にしていながら、氷河期世代から手のひらを返して「評価給」という名の賃金抑制を行い、少子化・非婚化を招き、自然な滅びを受け入れつつある国。仕事と家事・育児の両立すら、一部の女性だけの悩み。本来、心底悩むべきは妻を専業主婦として養えない男性だ。

年収400万円以下の男女は無能か?

正社員フルタイム勤務にも関わらず、自分と夫の年収は、30代後半の個人年収の平均以下だが、会社の公開用の給与体系の資料を見たら「30歳相当」の職位・役職だった。本来なら世代平均並に得ていたはずで、単に評価されていないから給与が低いだけだと知った。自分は、現在、子どもの保育園のお迎え・準備、子どもの世話に時間を費やさなければならない制約があり、上がる見込みはない。昇給・昇格できれば、世代相応の年収は得られたはずで、要は自分が無能なのだ。

一方、夫側は基準どおりなのかわからない。同じ主任クラスなので、社会保険料の負担増にともない、年々下がる手取り給与は、やはり次の役職:係長に昇格していない影響もありそうだ。もともと残業代を織り込んだ給与体系となっており、自発的に残業ほぼゼロの現状だと、永久に世代平均には達しない。

夫は、選択式の「センター試験」の結果だけが良かったで名のある学歴を手に入れ、家事がロクにできず、その様子からきっと仕事もできない無能という。気分に左右される点が大きく、インタビュー取材が苦手という点では確かに劣っているかもしれないが、アウトプットは決して悪くないはずだ。むしろ日本で数人しかいない稀有なレベルだろう。家事は不向きなので、もっと外注すべきだと考える。

子どもの頃から「何者」かになりたかった。歴史に個人の名は残せなかったけれど、もう出産前に十分に仕事の成果は残した。仕事復帰後も、多大な時間をかけ、密度の濃い実績を残せた。表面的な記事の量産より、社会に役に立つ、意味のある記事を量産する。そのために高く保つ必要があるモチベーションを下げる最大の敵は家族という時点で、物書きに一般的な幸せなどは要らないのだろう。

同一職種同一賃金を

ここ数年、国が本気で掲げている「働き方改革」「少子化対策」は、やはりいびつだと感じる。一部の高スキルの高所得共稼ぎパワーカップル、一馬力高所得者を優遇し、不妊治療をさせても何人も産ませ、同時に経済観念に乏しいカップルに時間を与えて産ませ、少子化に歯止めをかけようとしているが、そのどちらにもあてはまらない中途半端な層、独身者を切り捨てている。

今すぐ実施すべきは非正規雇用/正規雇用の差をなくす「同一賃金同一労働」ではなく、勤務先の規模によらず、同じ業務内容なら同じ収入が得られる「同一職種同一賃金」だ。もし人生をやり直せるなら、新卒・既卒の就職活動で大企業を目指し、受からなかったら潔く自死する。

 床暖房や4Kテレビのある持ち家があり、すでに住宅ローンの残額を全額繰り上げ返済できる状態にある。子どもは一人だが、最も手のかかるタイプに比べればまだマシ。年収が低くとも、倹約に努めた結果、貯金に余裕があり、これでも明らかに恵まれた環境という現実に驚愕を禁じ得ない。捨てられた氷河期世代は、本来ならもっと金銭的に困窮しているのだ。

捨てるべき団塊世代の身代わりにされた氷河期世代は、呪詛をネット上に吐き出すしかない。もっと楽しく生きたかったな、一度切りの人生を。

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