理解されない裁量労働制−仕事とプライベートは分離しない


 7月のある朝、目覚めた時点で絶望的になり、いま一番書きたいこと、自分しか書けないことを考え、書き上げた。その予測通り、政府はモデル例となる標準就業規則から「副業・兼業の禁止」の項目を外そうとしている。

・「副業・兼業の推進」は、デジタル家電・白物家電の販売を後押しする

 テレワークの普及、副業解禁は、これまでの仕事とプライベートの「分離」から「融合」へ大転換となる。仕事は会社のオフィスでやるべき、無能と罵る古い考えの人とはやっていられない。仕事は自宅や外出先でするもの、オフィスは、プロジェクトの根回しやその成果をアピールする場所だ。打ち合わせすら、本来ならテレビ会議システムがあれば遠隔でOK。わざわざオフィスに出勤する必要はない。それでも出勤する理由は、自宅の寝室・リビングが合わないからだ。電車内や知った人のいないフードコードのほうが落ち着く。

給与水準を下げたい大企業、すでに氷河期世代以降は昇給のない中小企業

 国は産業構造を変えたいと感じる。製造業(地方・郊外)と企画・コンサル(首都圏)の先進国から、副業OK、職住近接のサービス業(小売・介護)中心へ。クリエイティブな仕事で高収入は上位数%だけの特権になる。現在、30〜40代の氷河期世代は割に合わない。

 議論中の「残業代ゼロ法案」は、携帯電話事業者のかけ放題・データ通信し放題サービスの仕組みと似ていることから「定額働かせ放題」とも揶揄されている。しかし、常識的な上限時間を設け、妥当な評価体系の規範が確立できれば、接客・介護・保育など、一部の時間労働性の職種を除き、みなし残業代制の裁量労働制の拡大は妥当だと判断する。

 一人の個人のなかで「公私」を分ける考え方は時代遅れ。国は「貯蓄から投資へ」をスローガンに、副業・兼業を認めるなら、同時に公私混同を前提とした税制に切り替えるべきだ。具体的には、マイナンバーカードの普及の一貫として、平成から新元号への移行時に、基礎控除の拡大、高年収層の控除額縮小、年金控除の縮小とあわせ、会社員の年末調整の仕組みを撤廃し、全員に確定申告を義務付け、控除は申告制にすればいい。企業は総務部の負担が減り、自力で確定申告できない高齢者からの税収が増えて消費増税は不要になる。

 少子高齢化ではなく、人口の年齢構成の歪さが問題と明らかになっている以上、高齢者を切り捨てなければ未来はない。何もしないと税金が増えるとわかれば、元気なアクティブシニアは懸命にPCを使いこなそうと躍起になり、PC教室やPC本体・周辺機器の販売が活性化するだろう。

 善意のボランティアや無償サービスは、本来支払うべき対価を下げてしまい、安易に請け負うべきではないという指摘がある。確かにその通りだが、育児・家事支援だけは無料/廉価なボランティアの支援を求めたい。家事のできる専業主婦や高齢者(祖母)はヒマ、有職者や家事が苦手な母親は睡眠不足・疲労困憊という状況は歪んでいる。

 出産後、標準報酬月額が2万円下がった自分と、今年度、逆に2万円上がった夫の差は、依然として4万円。かつては8万円もの差があった。生涯年収は勤務先によって大きく変わる。人生をやり直せるなら、年次昇給のある会社に新卒で就職するか、若いうちに転職するか、どちらかだ。転職時にも、収入とやりがいを天秤にかけ、結婚や子どもを望むなら収入、自分の人生を最優先するなら裁量の広さを重視して選んだほうがいい。

 結局、人生の大半は運で、その運を生かしつつ、努力が実った場合だけ「何者か」になれる。この唯一のシンプルな望み、「自由に生きる」「何者かになりたい」自体、自己表現欲求の低い人には共感されないようだ。