待機児童ゼロ達成の唯一の方法、改札の全方向に保育園を

2017/1/3 09:40 | 子育て, 社会批評 | 個別URL

 今年4月末から仕事復帰した。はや8か月、何とか続けられてきたのは、最寄りの平塚駅の改札から徒歩0分の保育園の立地と、最大21時までの保育時間の長さによるところが大きい。あらかじめ19時までの延長を申し込み、18時~19時の間に迎えに行く。勤務地が近い夫は、19時なら定時で仕事を切り上げれば間に合う。とはいえ、実際には出社時刻が遅く、実質的な業務終了時刻が遅くなっているため、お迎えは、いわゆる「時短」に切り替えた自分が担当している。

 正確には「時短」ではなく、裁量労働制のため、契約上は変わらず、会社の了解を得て早く帰宅している。復帰後、仕事量が増え、だんだん5分、10分と、帰宅時刻が遅くなっていった。

 2016年11月末頃から、毎日、会社を17時30分過ぎに出て、間に合えば17時40分、遅くとも47分東京駅発の電車に乗り、18時56分頃に保育園のタイムカードを切る日々だった。東京駅で17時32分発、40分発の電車のドアが目の前で閉まり、なぜあと2分、早く出発しなかったのかと何度も悔やんだ。電車の8分の遅れが、子どもの就寝時刻の10分の遅れにつながり、自分の負担が重くなるからだ。

移動時間を最小に抑える「駅チカ」は共稼ぎ継続の最低条件

 乗り換え待ちの間に、1店舗なら駅ナカで買い物も可能。朝は余裕をもって出発すれば、もっとゆっくり買い物できる。こうしたギリギリのスケジュールでも回る最大の要因は、保育園は改札から徒歩1分以内、会社のオフィスは徒歩5分程度、自宅も徒歩10分程度という、「トリプル駅チカ」のおかげだ。

 平塚市は2011年度、2015年度、2016年度の3回、国が定義する「待機児童ゼロ」を達成した。市立の認可保育園の保育士さんの話によると、子どもが入園した2016年度は例年になく1歳時の申込みが多く、預けられなかった人が多かったという。希望通り、認可保育園に預けられたのは、自分のような夫婦フルタイム勤務の仕事復帰者のみで、パート勤務や新規就業希望者はことごとく落選したそうだ。

待機児童問題の解決には行政の介入が不可欠

 地元の場合、駅から遠い立地の保育園には空きがあり、駅周辺と、特定のエリアの認可保育園だけ不足している。公称「待機児童ゼロ」ですら実際には足りておらず、ましてや、世田谷区など、待機児童数が非常に多い自治体では、待機児童は、「個人の収入とキャリアの継続」と「税収確保」のため、早急に解決しなければならない問題だ。

 唯一の待機児童解消策は、駅の改札徒歩5分以内と駅ナカ、駅ビルに保育所の設置を自治体に義務付けること。駅の構造にもよるが、通常、改札口は3か所以上ある。そのすべての方向に保育園を設置すれば、電車通勤者には非常に便利で、さらに、立地ありきではなく、園の保育方針を比較して選べる。

 現在預けている、東海道線の駅ホーム隣接の保育園は非常に便利。だから無理ができてる。仕事復帰後の貯金は、計画が中止されたライナーホーム建設予定地の活用策として、保育園の建設を働きかけた自治体と、事業者に土地を提供したJR東日本のおかげだ。実際に建物の一部はJR東日本と共用で、保育園内には、新幹線などさまざまな電車の写真が飾ってある。子どもは真っ先に「電車」という言葉を覚えた。通勤時間のロスタイムを最小限に抑える、「駅型保育園」の利便性をより多くの共稼ぎ夫婦にもたらして欲しい。

 地元の場合、あと3か所、改札がある。一番賑わっているメインの北口(東口北側)は繁華街なので、代わりに駅ビルの1フロアか、駅ナカを増床して保育園を誘致すれば、潜在的な就職希望者も仕事に従事できるだろう。駅ナカ・駅ビル内の保育園には、小学校低学年向けの学童保育も併設すれば、「小1の壁」問題も解決する。

 実は、改札の西口北側、東口南側の徒歩5分以内に空き地があったが、パチンコ店とドラッグストアになってしまった。駅ビルも、4階にあった「無印良品」が2階に縮小・移転した後に、ニトリの「デコホーム」が出店した。

 保育園は園庭を設けなければ、土地はそれほど必要なく、この3か所に保育園を建設していれば、市は「4月時点の待機児童ゼロ」どころか、「認可保育園いますぐ入れます、ぜひ引っ越しを!」とアピールできていただろう。民間に委ねると、駅周辺は商業施設になってしまう。だからこそ、強制力のある「義務化」が必要なのだ。

 調べたところ、JR東日本は、CSRの取り組みの一貫として、子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」を展開。事業主・行政・JRの三者連携による駅型保育園の建設を進めていた。預けている保育園もその1つ。保育関連の記事によると、小田急、京急、京王、西武など鉄道各社を中心に大手企業が経営に乗り出しているという。

【参考記事】
・JR東日本グループ 子育て支援事業「HAPPY CHILD PROJECT」
・最寄り駅が保育所に!最近増えている「駅型保育所」って?
・改札から1分!の駅チカ保育園に潜入

 自治体間競争を勝ち抜き、人口減少に歯止めをかけるには、収入が多く、消費も活発な「共稼ぎの子育て世帯」とその予備軍の移住を促すことが必要。鉄道各社も、路線人口の減少を食い止めなければならない。完全な人口減少期に入るまで、おそらく後30年は、0歳~6歳の保育園、6歳~10歳くらいまでの学童保育に対するニーズは高まり続けるはず。今すぐ手を打たなければ、首都圏の郊外は、居住エリアとしての人気がますます低下し、少子化はさらに進むだろう。

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