夏の熱さで思い出す、8年前のiPhone上陸騒ぎとコードギアス

2016/8/9 09:20 | つぶやき, デジタル | 個別URL

 最終回から1年目、3年目、5年目……。2006年から2008年にかけて、生活の中心となり、各話を何度も見返した「コードギアス」を振り返る記事を書こうと思いつつ、はや数年経ってしまった。世間的には、2008年夏は、iPhone日本上陸の夏だ。しかし、個人的には、後に悪性リンパ腫だと判明した父の入院と、「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」の夏だった。

 正直にいうと、当時、IT業界やメディアで騒がれた「iPhone 3G」にはあまり興味はなく、父の入院時の待ち時間は、ケータイ版の2chにアクセスして、「コードギアス」のネタバレや感想を読み続けていた。まさか数年後、日本人の象徴だったケータイがすっかり廃れ、iPhoneをはじめとするスマートフォンが広く普及するとは、夢にも思わなかった。Webサイト「BCNランキング」の閉鎖を前に、当時の記事をいくつか読み返したが、ことごとく日本ではスマートフォンは根付かない、と語っていて、つくづく予想は難しいと思った。たった8年前だが、遠い過去のようだ。

8年前には誰も予想できなかったiPhoneのヒット

 2008年9月末、一度目の抗がん剤治療が効果を発揮し、少し持ち直した父に、サイクロイドタイプの携帯電話を私名義で買い、使っていいと渡した。しかし、少ししか使いこなせないまま、父は、2010年1月、iPad発表の直前に亡くなった。ずっと忙しく、使い方をまともに説明しなかったからだ。正確には、ケータイの文字入力が苦手で、「2chを見る」「写真を撮る」「電話をかける」以外の機能はほとんど使っていなかったため、教えることができなかった。

 その時、ケータイではなく、出たばかりの「iPhone 3G」を買って渡していたら、自分も最先端の端末に触れることができ、学びながら機能を説明できたはず。iPhoneで広がるインターネットに面白さを感じた父は、気力を取り戻し、身体の不調に負けずに前向きに生きようと思ったかもしれない。悔やんでも悔やみきれない判断ミスだ。2008年8月~10月、病院のお見舞いの行き帰りに、梨やぶどう、柿を買い、何度か病室で向いて食べたこともあった。あの時、みんなで食べた梨の美味しさは忘れられない。何度か立ち寄ったブノワトンは、2010年3月29日に閉店した。以前にも書いた通り、父と一緒に食べた最期のケーキはブノワトンのものだ。

 「コードギアス」は、否応なく、こうした感傷的な記憶と結びつく。同時に、「黒船iPhone日本上陸」という騒ぎも思い出す。最終回からまもなく8年。iPhoneも日本上陸から8年が経ち、ついに右肩上がりの成長が止まった。日本で一番売れたスマートフォンは、「iPhone 6」のまま、もう二度と、塗り変わらないかもしれない。

・歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか
www.bcnretail.com/market/detail/20160805_11580.html

 今秋発売の新モデルはつなぎと噂されている。デザインが一新されるというその次のモデルで、再び脚光を浴び、記録を更新する可能性もあるが、ハードとしての進化はほぼ行き着いた感は否めない。スマホゲーム「ポケモンGO」目当てにケータイからスマートフォン、古いOSのスマートフォンから最新スマートフォンに乗り換えるユーザーが続出していると聞き、ハード自体の魅力より、話題性とコンテンツが普及を加速させるとわかった。やはりコンテンツの力は大きい。

 スマートフォンが本格的に普及し始めたのは2011年の夏。それから数えても、はや5年経った。仕事に何となく行き詰まり感を感じ、一度きりの人生の経験として、子どもが欲しいと願い、実際に妊娠した2014年夏は非常に体調が悪く、極度の不眠に悩まされた。0歳児と過ごした2015年夏は、毎朝、5時に子どもに起こされ、朝から夕方まで、家事と散歩の強迫観念に追われ、自分の時間を持つことなく、あっという間に終わった。今年は、父が入院した2008年以来、ゆったりとした日々を夏休みとなりそうだ。大河ドラマ「真田丸」以外、特にハマる作品もなく、仕事量も以前に比べると少ない。その証拠が久々のブログ更新だ。

 2014年11月生まれの子どもは、「iPhone 6s」発表頃から自力で立つようになり、「iPhone 6s」発売日の2015年9月25日から歩き出した。

 今や駆け出すこともある、成長した子どもを見るたびに思い出す。亡き父にこそ、子どもを見せたかった。人間としての成長の一歩、歩く瞬間に立ち会えたけれど、本当は、いつものようにいち早く「iPhone」の販売動向を伝えたかった。この8年間、自分は何をしてきたのだろう。膨大な時間を費やし、その時々のベストを尽くして書き続けてきたスマートフォンに関する記事も、事実上、ネット上から消滅した。アーカイブは、もはや自分で整備して公開するしかない。

夏に始まったヒットは記憶に強烈に残る

 人生は後悔だらけだ。永遠に続く、右肩上がりの成長はない。2chは数年前にはすっかり廃れ、TwitterやLINEもピークが過ぎ、膨大に増えたネットユーザーの趣味・嗜好は分散している。今年7月22日の配信開始から「ポケモンGO」にハマった人は、2016年夏は、ゲームと散策の年として記憶に残るだろう。セミの鳴き声、冷たい飲み物、蒸し暑さと時折吹く心地よい風……。どの季節より、夏に始まったヒットは印象深くなる気がする。

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