アーカイブの事実上の消滅に思うこと

2016/7/30 10:14 | つぶやき, デジタル | 個別URL

 妊娠・出産・育児のため、2014年8月を最後に、ブログを更新できなかった。子どもは、2014年生まれの女児。妊娠中の出来事は、「はてなブログ(名無し34歳の自分語り)」に少しだけ書き残してある。TWO-MIXをきっかけに知り合った2人にふさわしい日に生まれ、曲を聞くたびに、「喜び」と「呪い」の両方を感じる。子どもと引き換えに、失ったものは大きい。

スマホの普及が引き起こしたユーザー層の変化とネットメディアの淘汰

 Webからスタートしたネットメディアはアーカイブを消さない。それが従来の取材手法と姿勢を頑なに守り、サーバー保守費用削減のため、配信した記事をすぐに削除する新聞社のオンラインメディアや、他媒体から配信された記事を集めだだけのポータルサイトとの最大の違いであり、検索から多くの流入が見込める強みだと認識していた。サイトリニューアルに伴い、ドメインが変わり、必然的にURLも変わる。当然のように、前回同様、記事ごとに新URLに転送されると思っていたが、今回は「URL転送設定は行わない」と決定していた。

 紙の書籍と同様、ネット上に残された文字は、やがて時代を示す貴重な記録になる。アーカイブは、そのサイトを運営する企業/団体/個人の最大の資産であり、何より重要なものだ。なかには、そうした意識を持たない人もいるが、最終決定は、多数の関係者によるものであり、あえて「捨てる」判断を下した、と受け取るざるを得ない。

 それは、仕事を最優先に生きた自分の約10年の全否定だった。気になる記事があればチェックしてくれる数少ない愛読者に向けて、過去を振り返り、話題となった記事を紹介する企画も通らなかった。そもそも、何度提案しても通らなかったリニューアルがすんなり決まったこと自体、その意図を慮るべきだったのだ。

 明日、2016年7月31日、「デジタル生活応援サイト」と銘打たれた零細ネットメディアは、ひっそりと終わる。さまざまなデジタル家電が普及し、高齢者や、iPod touchとケータイの組み合わせが最強だと主張するダンナのような一部のユーザーを除き、誰もがスマートフォンを持ち、コミュニケーションツールとして活用するようになった時点で役割は終わっていたのだろう。多くのデジタル製品は、生活の一部として溶け込み、売れ筋やランキングに興味をもつ人は少なくなった。出産のタイミングは、時期としてベストだったのかもしれない。

 書き手の名前も、サイト名も忘れられ、すべて「なかったこと」になっても、2004年12月から2014年11月まで、試行錯誤しつつ、発信したさまざまな情報の一部は、無許可で転載されたまとめサイトや、数字やグラフを取り上げてくれた「iPhone+iPad FAN」や「MACお宝鑑定団」など、個人ブログ/個人ニュースサイト上に残る。たとえ、瞬間風速だったとはいえ、記事を公開した時、多くの誰かの役に立ったと自負している。

 持論の通り、「人生は40年」とすると、もはや残り数年。今後も、さらに精進を重ね、より公平に、今の持ち場で、与えられた業務の遂行、目標達成に向けて励みつつ、残りわずかな人生に悔いのないよう、本当に書きたいこと、伝えたいことを書き綴りたい。その場所は、匿名で、ありのままを書こうと思えば書ける「はてな匿名ダイアリー」か、個人ブログか。スマートフォンの普及と、リアルとオンラインの融合によって、「ネット上で発信すること」の影響力が大きくなり、制約が増えてきたと感じる。もっと生きやすい社会になればいいと切に願う。

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