それでも『残念な街』といわれる湘南平塚に住み続ける理由

2014/3/1 13:20 | つぶやき, 湘南ローカル情報 | 個別URL

 神奈川新聞(カナロコ)に、平塚市の現状を的確に分析した、手厳しい内容の記事が掲載された。末尾の提言以外、ほぼ同意する。

・平塚市14年度予算案は約1756億円、ツインシティに力点

 (前略)新年度はさらに、平塚市大神地区と相模川対岸の寒川町倉見地区を新橋で結び一体的なまちづくりを行い、倉見地区に新幹線新駅を誘致する大型事業「ツインシティ計画」の推進に力を注ぐとしている。しかし同計画は、新駅の見通しが立たない中で肝心の倉見地区のまちづくりが進まず、現状では大神地区「ワンシティ」の国道129号沿線開発の様相が濃くなっている。地域住民の十全の理解も得られないまま、土地区画整理事業など数百億円規模の大型事業に突き進むことが妥当なのか厳しく問われている。

 落合市政が大型事業中心に動く陰で、平塚は2010年11月をピークに過去3年で人口が約2800人も減少した。昨年は転出超過(社会減)が県内で横須賀市に次ぐ規模。出生数も急減し、人口が約2万人少ない茅ケ崎市の出生数を下回った。社会減、自然減とも拡大傾向だ。働き盛り世代に選ばれず、子どもが生まれにくい街になっている。人口増が続いている藤沢、茅ケ崎市と比べ、湘南地域での平塚の地盤沈下は顕著だ。ハード、ソフト両面で、新年度予算案が、事態に十分対応しているか疑問も出よう。

 働き盛り世代に選ばれるには、都心への通勤が便利な駅周辺の活性化が重要な要素だ。駅北口の中心商店街は、平塚のアイデンティティーである湘南ひらつか七夕まつりを支える基盤でもある。駅前再開発の中心で懸案の見附台周辺地区再開発事業は、調査などが難航し、新年度予算案に盛り込めていない。まちづくりの方向性が問われている。

立地や環境のポテンシャルを活かせない「残念な街」

 外部からは、市役所や総合公園などがある駅の北側が中心地だと見えるだろう。実際には、住宅地として評価が高いのは駅の南側(南口エリア)だ。しかし、歴代の市長や市議会議員は、南口エリアを軽視し、選挙の際、駅南側で演説すら行わない。その結果、犯罪や事件・事故などのマイナスイメージばかり伝わり、2010年11月をピークに人口減少に転じた。高齢者の死去による自然減は、やむを得ない。ただ、15~64歳の人口流出が多く、「現役世代・子育て世代に選ばれない街」という現実は、街の魅力を効果的に宣伝する「シティプロモーション」に、これまで一切取り組んで来なかった行政の落ち度としかいえないだろう。

 カナロコによると、2013年は、出生数も急減したという。連動して出生率も下がっていると思われる(証拠となる元データを探したい)。その要因は、金銭的に余裕のある夫婦は、より東京都心に近いエリアに移住し、市内には、実家に住み続けている独身者(パラサイトシングル)と、金銭的に余裕のない夫婦しか残っていないからだろう。平成25年の住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)によると、15歳以下と65歳以上はわずかながら転入超過で、詳細をみると、乳幼児は転入超過、それより年齢の高い子どもは転出超過となっている。東京都心に比べ、相対的に待機児童の人数が少ないため、子どもが生まれたばかりの家族が転入する一方、子どもがある程度大きくなり、共稼ぎ再開によって収入が増えた家族が市外に転出し、トータルでは、マイナスになっていると推測される。

 つまり、「働き盛り世代に選ばれず、子どもが生まれにくい街」という指摘は、少しずれている。正確には、「収入の足りない働き盛り世代が妥協して選ぶ街であり、収入が増えると出て行ってしまう街」「子どものいる家族は引っ越して来るが、昔から住んでいる人は生まない(生めない)街」。立地や環境のポテンシャルを活かせない「残念な街」だ。

 それでも、自分はこの街に住み続けようと思っている。地価の安い首都圏の郊外エリアの中で、もっとも東京都心に通いやすく、住居費を含めた生活コストを低く抑えられる、「コスパに優れた街」だと考えるからだ。少なくとも、出産可能な年齢を過ぎるまでは、念のため、この街が最適だと判断した。万が一の際に、市内に住む実母を頼ることができるという個人的な事情もある。もちろん、神奈川県内の他のエリアや、埼玉や千葉にも、同様の「コスパに優れた街」はあるだろう。より住みやすく、オシャレで、コスパに優れた街があったら、将来の引越し先候補に加えたいので、ぜひ教えて欲しい。

 生活する上で必要なコストとして住居費をできるだけ下げたい人、着席通勤したい人には、平塚駅周辺(公称8分以内、実測10分程度)をおすすめしたい。駅の南側/北側、どちらがいいかは、実際に訪れて好みで選べばいいだろう。住居費をさらに下げたい、車通勤なので駅までの距離はあまり気にしない、大型公園や小学校の近くなど、周囲の環境をより重視する人には、平塚駅から徒歩10分以上のエリアや、茅ヶ崎のバス便エリア、寒川、大磯などもいいだろう。特に寒川は、長い歴史があり、再開発の展開次第では、今後、伸びる可能性は大きいと感じる。これら湘南エリアについて、コスト以外の利点として、「湘南」というブランドと、温暖な気候を挙げたい。

東京都心に通いやすく、コスパに優れた街

 メリットは、基本的に、新築マンションの公式サイトやチラシなどに記載されていることと同じ。ただ、一部、誇張している点が見受けられるので、広告は鵜呑みにしないほうがいい。

■メリット

(1)東京駅まで直通60分、座ってラクラク通勤

 JR平塚駅から東京駅までの平日日中の所要時間は60分。朝の通勤時間帯でも、67~74分で着く。さらに、湘南新宿ラインを利用すれば、恵比寿・渋谷・新宿・池袋にも乗り換えなしで行ける。JR東海道本線は駅間が長く、距離の割に所要時間は短い。秋葉原、銀座・有楽町、表参道、六本木など、東京都心の主要駅はもちろん、幕張やお台場、成田空港などにも乗り換え1回で行くことができ、電車でのアクセスは便利だ。しかも、乗車する車両と時間帯を選べば(コツをつかめば)、朝の通勤時間帯は、ほぼ100%着席できる。コツを知らなくとも、2、3本待てば着席できるだろう。確実に座りたければ、始発か、有料の湘南ライナー・おはようライナーを利用すればいい。

 ちなみに、6時半~8時半までの朝の通勤ラッシュ時間帯は、平均3分~6分に1本、電車が来る。長い15両編成の上り列車は、平塚駅でほぼ満席になり、下り列車は平塚止まりや、平塚駅で「後ろ5両切り離し」となる場合が多い。切り離し作業中、5分程度待たされるため、帰宅時の利便性を考えると、「平塚がベスト」という結論になる。

(2)海と山、川に囲まれた温暖な気候、観光地の箱根・伊豆・江ノ島に近い

 地図を見ればわかる通り。関東平野の南端に位置し、数年に一度しか雪が積もらないくらい、冬は暖かい。圏央道や新東名高速(第二東名)が完成すれば、箱根・伊豆・江ノ島以外の観光地へのアクセスも飛躍的に改善する見込み。

(3)駅近の賃貸物件(1DK~2DK、築年数の古い3DK)が安い

 新築を除く、駅徒歩10分以内の一人暮らし向けの1K/1DK(25m2程度まで)、狭めの2DK(30~45m2)の賃貸物件の家賃が安い。1Kで3万円台、2DKで6万円台、築年数の古い3DK(築30年超)で9万円台から。駐車場代も、駅から5分以上離れれば、月額8000~1万4000円程度と、それほど高くない。

 ただし、物件数が少ないため、築年数20年以下のファミリー向けの3DK/3LDKは、11~16万程度と、首都圏の郊外としては標準的な水準になる。同様に、駅徒歩10分以内の中古マンションも、築年数の割に高いと感じる(新築マンションPERは、首都圏エリアとしてはやや高めだったはず)。新築マンションは、駅周辺には、ほとんど建設されない。売地はたまに出るが、分割され、建築条件付きやミニ戸建てになるケースが多い。賃貸の1K/1DK、2DKが際立って安い理由は、人口減少や借り手の意識変化によって需要が低下し、供給過剰に陥っているせいだろう。

(4)邸宅や公園が点在する住宅街、美しい「なぎさプロムナード」

 駅から徒歩2、3分の場所から住宅が立ち並び、5分以上離れれば、基本的にすべて住宅街。平常時は静かで、昔からある家は「邸宅」風だ。昔は、松が生い茂る別荘地で、今も人口一人あたりの公園面積は広いらしい。駅南口から海に向かう真っすぐの道「なぎさプロムナード」は、とても美しい(参考:平塚なぎさプロムナード)。

<独断によるおすすめエリア(駅北側含む)>
★★★:八重咲町、松風町、代官町(一部除く)、夕陽ケ丘
★★(デメリットあり):老松町、八千代町、宮の前、明石町(一部除く)、桃浜町
※すべて1分=80mで、駅徒歩8分以内の場合のみ

■デメリット

(1)JRの運賃が高く、東海道線がストップすると「陸の孤島」になる

(2)駅前商店街が衰退している(一部の店舗以外、売る気がない)

 駅ビルや24時間営業のスーパーなどがあり、日常品は問題ないが、デジタル家電・生活家電やブランド品などの耐久消費財は、自動車で国道沿いの大型店に行くか、電車に乗って他の駅に行くか、ネット通販を利用しないと購入できない。駅周辺に、高度医療を提供する大型病院もない。

(3)潮風の影響で、自転車、自動車、建物などが錆びやすい

(4)何となくイメージが悪い

 東海道線に依存した鉄道インフラは致命的なデメリット。川と川に挟まれ、強風などのため、橋を渡れないと、一時的に「陸の孤島」と化す。今回はあえて触れていないデメリットは、耐えられない人には耐え難く、それが「イメージ」の悪さにつながっていることは否めない。とはいえ、交通アクセスの良さや住環境は、もっと高く評価されていいだろう。

【関連記事】
・転入超過は東京都心とその周辺だけ 広範囲な「東京圏」への集中ではない
・賃貸の定番・2DKの需要は消えた?

つぶやき, 湘南ローカル情報, ,