賃貸の定番・2DKの需要は消えた?


 引越し前に住んでいた賃貸アパートは、次の入居者が決まらないらしい。もう何か月も、不動産情報サイトに情報が掲載されている。このままだと、「空き家」となり、不良資産となってしまう【退去から約10か月後、別の方が入居されました】。私達がずっと住んでいれば、こんなことにはならなかった。心苦しく思うため、その理由を考察してみた。

■入居者が決まらない理由(個人的推測)
・前入居者が端境期に越したため、引越し需要が高まる時期とタイミングが合わなかった
・前入居者が壁に汚れ(カビ)をつけてしまい、完全に除去できないため、マイナスポイントとなっている
・前入居者が乱雑に置いた自転車の写真を、参考写真として載せているため、「入居者のマナーが悪い」と誤認されている(今は自転車は一台もない)
・前入居者の部屋の使い方から、和室を洋室にリフォームしたが、和室のままのほうがよかった
・家賃を当初(前入居者と同じ金額)より5000円下げた(不人気物件だと安易に認めてしまった)

 ……大変申し訳ない。しかし、最大の要因は、仲介業者に任せっきりで、ソーシャルメディアを活用していない点だろう。メリット・デメリットを羅列し、実際に住んでいた人の声やオーナーの評価などを掲載し、首都圏在住者に向けて広く拡散すれば、「住んでみたい」と思う人は少なからずいるはず。それくらい、コストパフォーマンスは高い。

 工場の移転・閉鎖が相次ぎ、年々、地元に転入する人は減少している。さらに、職住接近の考え方が浸透し、慣れ親しんだ地元に住み続けたいと思う人が減り、数少ない住みたいと思う人も、家賃や駅までの距離より、広さや新しさ、設備の充実さを重視するため、「築年数の古い、2DKの30~40m2未満の平均より安めの物件」に対する需要が激減しているようだ。数年前、頻繁に調べていた際は、該当する物件はあまり多くなかった。ほとんどゼロだったと言ってもいい。条件のいい物件は一瞬で消え、極度に古い物件、階段のない高層階の物件しか残っていなかった。しかし、今はかなり多く、もっと安くて新しい物件、少し遠いが広い物件など、選択肢は豊富だ。たった数年で、賃貸物件に対するニーズががらりと変わってしまったようだ。実際には、もっと前から変わっていたが、入居者の入れ替わりが少なかったため、可視化されなかったらしい。

 漠然と、結婚したら、「できるだけ安い賃貸物件に住んで貯金に励み、将来的に、新築物件を購入するか、相続した実家をリフォームして住む」と考えていた。賃貸は、あくまで持ち家までの「つなぎ」であり、通勤・買い物に便利な「立地」と「安さ」を重視した。間取りは2DKか2LDK(場合によっては1LDK)、広さは30~40m2前半程度、家賃は最大でも8万円台。しかし、リクルートのゼクシィブライダル総研の調査(2012年度)によると、新婚時に住んだ家の間取りは、「2LDK」が最も多く(35.3%)、次いで「3LDK」(16.3%)、「2DK」(14.0%)、「1LDK」(12.5%)の順だった。首都圏に限ると、「2LDK」「2DK」「1LDK」「3LDK」の順だが、「2DK」は2011年から2012年にかけて5ポイント以上ダウンした。

 延べ床面積・専有面積は、「50~60m2未満」が18.0%で最も高く、次いで「40~50m2未満」が16.5%、「60~70m2未満」が15.5%で続く。平均は57.0m2。首都圏に限ると、少し狭めになり、「40~50m2未満」「50~60m2未満」が多い。平均は54.7m2。「30~40m2」は、わずか9.3%だった。

 家賃は、全国平均8.9万円。首都圏に限ると平均9.5万円となり、予算をはるかに上回る。賃貸が多数派だが、結婚と同時に新築マンションを購入したり、家を建てたりするケースも少なくない。調査対象のサンプル数が少なく、データの信頼性には若干疑問もあるが、予想外の結果に驚いた。最近の新婚カップルは、比較的高収入が多く(首都圏の場合、結婚前の夫=男性の平均年収は450.5万、妻=女性の平均年収は328.1万。「ゼクシィ」読者のため、他の調査結果より全体的に高い)、いくら支払っても自分の資産にならない賃貸にも関わらず、「いきなり、持ち家並の広い部屋」に住む傾向にあるようだ。

<首都圏在住者 新婚時に住んだ部屋の間取り・広さ・家賃>

▽間取り(社宅・持ち家購入者含む)
2LDK:27.2%
2DK:17.9%
1LDK:17.3%
3LDK:16.7%

▽延べ床面積・専有面積(社宅・持ち家購入者含む)
40~50m2未満:21.6%
50~60m2未満:17.3%
60~70m2未満/70~80m2未満:11.1%
30~40m2:9.3%
30m2未満:5.6%

▽家賃(社宅除く)
8~9万円未満:19.8%
10~11万円未満:17.2%
7~8万円未満/9~10万未満:11.2%
6~7万円未満/12~13万円未満:9.5%

出典:「ゼクシィ 新生活準備調査 2012」(一部抜粋)
調査期間2012年5月18日~6月22日、集計サンプル数計870人

 かくして、かつて新婚カップル向けだったはずの広さ30~40m2の物件は、借り手がなかなか見つからない。しかも、地元住民以外、良さをわかっていない(地元民すら、ポテンシャルの高さを把握していない)、残念な街、落ち目の衰退都市の物件だ。完全に需要が消失していると言ってもいい。私のように、考え方の古い人・ずれた人(ケチな人)に見つけてもらえるよう期待するしかない。

 ずっと共稼ぎを続けるつもりなら、家賃10、11万程度の物件でも問題なかった。しかし、万が一に備え、一人分の収入でやりくりできるようにするべきだと考えた。ただ、それでは、30m2以下のひとり暮らし用の物件しか選べないため、予算を少し上げ、8万円前後に設定した。大家の不労所得になる家賃はできるだけ切り詰めるべきであり、最新設備の整った広い家は不相応だと今でも思っている。

 下記のメリット・デメリットを見れば、地元在住者なら、どの物件か、すぐに特定できるだろう。立地・環境の良さと割安な家賃は、非常に魅力的に思えた。しかし、在宅時の寒さに耐えきれず、今の家に引っ越した。実をいうと、ケチらずに、夏場や冬場、エアコンを常時使用していれば耐えられるレベルだった。冬場に関しては、日中、雨戸を開けないため、寒さがこもってしまい、余計に底冷えしてしまったようだ。暮らし方次第で、ずっと住み続けることも不可能ではなかった。明るくきれいなメインストリートを見るたびに、室内環境の悪さを訴え、エアコン代を捻出するため、家賃を値下げして欲しいと交渉すればよかったと、少し後悔している。

■メリット
◎周辺相場より若干安い
・駅までまっすぐ平坦(公称より早く着く)
・南向き・日当たり良好
・通学時間帯を除き、周囲は静か
・近隣に個人病院・歯科、飲食店が多い
・エアコン1基付き

■デメリット
・1階
・夏暑く、冬は寒い
・年間を通して湿っぽい、居心地がいいのは春だけ
・築年数が古い、防音性能が低い(夜間、上階の住人のいびきが聞こえる)
・玄関、DKが狭い
・給湯は都市ガス(追い焚き・オート機能なし)※バランス釜ではない
・備え付けのエアコン1基以外、増設不可
・地デジ対応・BSデジタル非対応(要アンテナ設置)

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